BMW R1200RS 2017年モデル

BMW_R1200RS テカポ湖にて
BMW_R1200RS(2017年モデル) テカポ湖にて

BMW R1200RS 2017年モデルで、3400㎞ツーリングしたインプレッションです。

直線でもカーブでもスピードを楽しみながらツーリングできるバイクでした。

高速巡航を重視したバイク

120km/h前後でクルーズしていると、速度感あまり感じないほど安定しています。
この速度域でのパワーも充分で、加速も追い越しも楽です。
(海外で乗りました。道交法違反していません)

この速度域からは、速度上げるほど前がやや軽くなってくるので、きもち前荷重のほうが安定します。

シートの高さ

高めのシートに座って深めの前傾をして、前よりに座って、前に荷重をもっていったほうが高速域でのフロントの接地感が向上して高速域でも快適です。
海外仕様の高さのあるシートのほうが、日本標準の760mmシートより着座位置がタンク側に寄っていますし、シート高が高いぶん前傾が深めになります。

低いシートだと、足つきも良くなるので、街乗りとかは楽だとおもいます。
ただ、ニュージーランドでツーリングした時は、信号なし一時停止なしの道路がばかりだったので、走り始めてから停車するまで足をつく必要がほとんど無く、足つきの良し悪しは全く気になりませんでした。

シートの高低は、足つきの良し悪しだけでなく、前傾を深めにするか浅くするかとか、街乗り多いか、高速走行主体かとかいった、自分のスタイルとも相談して決めた方が良いかと思います。

シールド・フェアリング

前傾が深めになると、フェアリングが風をよけてくれる範囲に頭が入るので風切り音も静かになります。

やや上体が起きた姿勢だと、ウインドシールドがカバーする範囲より上に頭が行くので、ヘルメットに風がもろに当たり、風切り音がうるさくなります。

高低2段階に調整できるウインドシールの高さを高にしても、上体の前傾浅いと頭はカバーできません。

深めの前傾姿勢で乗って走るのが前提のフェアリングだと思われます。

雨天走行でも濡れないことを配慮したR1200RTのフェアリングとは違い、高速クルーズ時の風よけといった印象のフェアリングでした。

小さめのセミフェアリングは、前から見たシルエットを小さくして、空気抵抗を減らすことに貢献していそうな感じです。

R1200RTよりスポーティ

R1200RSを、R1200RTと比べると、RTがツーリング指向、RSがスポーツ志向なのが良くわかります

同じエンジンで同じパワーのRTとRSですが、車重はRSが244 kg、RTが278 kgで34㎏軽いRSのほうが軽快に走れます。

RTは、重くなっているだけあって、ウインドシールドがRSより大きく、手もカバーする左右の張り出しもあり、電動でシールドの高さ調整もできします。
雨天や寒風ではRTのほうが快適に走れます。

BMW純正オプションのトップケースの容量も、RTのほうがRSより大きく、長期ツーリングには便利です。

燃料タンクはR1200RTが25リッター、R1200RSは18リッター。
航続距離の長いRTのほうがガス欠のリスク少なくツーリングでは安心です。

BMW R1200RS のハンドルまわり(フェアリング位置は高にしています)

R1200RSのBMW純正ナビは、ハンドル手前に付いているので、見ると下を向くことになり、前方が視界から外れます。

BMW_R1200RTのパネルとシールド
BMW_R1200RTのパネルとフェアリング(メーターの上がナビです。フェアリング本体と左右に張り出し手をカバーするフェアリングはセパレートされ、2枚構成になっています)

R1200RTは、シールドが高く大きいので、シールドの下側に純正ナビを取り付ける場所が確保できています。
ナビがメーターの上になるので少ない視線移動でナビを見ることができます。
ナビを見ながらのツーリングはRTの方が快適です。

ブレーキも快適

フロントブレーキを使うと、リアが連動するタイプのABSです。

フロントブレーキをガツンと握ってドカンと減速してみても、ノーズダイブが少なく、安定感良好です。
リアが連動していることと、D-ESA(電子制御アクティブサスペション )が効いていることの成果だと思います。

フロントブレーキも、ガツンにぎらずソフトに使えば、、主に前ブレーキだけ効いてフロントタイヤが路面をつかんでいく感じもあって、良い感じです。

リアブレーキを踏めば、フロント介入なしに、リアだけ効いてくれるので、も同じで、タイヤが路面をつかんでいく感じが得られます。
タイトなリアターンとかもできます。

軽くて素直なステアリング

軽い荷重移動でスーと素直にセルフステアしていきます。
コーナリングが気持ちいいので、峠道も楽しめます。

224kgと軽い車体ですが、数値以上に軽く感じて軽快です。

アンダーステアとかオーバーステアとかの癖も無く素直な感じがします。

純正パニアは横開き

BMW R1200RSの純正パニアケースと インナーケース(フタを開けてもインナーケースが落ちないように3点止めゴムバンドがアウターケースに付いています)

左右のパニアは、横開きです。インナーケースを使わないと、開けたら中身がドバっとこぼれます。

狭い場所に駐車して、横にスペースが無いと開けにくいかもしれません。

取り外したパニアとトップケース
取り外したパニアとトップケース
パニアケース(上部が持ち運び用取っ手)
BMW R1200RS純正パニアケース(上部が持ち運び用取っ手)

外側のケースごと、ワンタッチで車体から取り外すこともできる。外側ケースには、持ち運び用の取っ手も付いているので、宿へ荷物を運ぶのは便利です

パニアの開閉も、脱着も、バイクのキーと同じキーで、ロックできます。

クルーズコントロールは自制用に便利

クルーズコントロールのON/OFF設定は、左の親指一つで簡単にできます。

オートクルーズ中に、追い越しなどでスロットルを開けても、スロットルを戻せば設定速度に復帰してくれます、ギア操作やブレーキをすると解除されてしまいますが。

ついつい速度が上がってしまうような見通しの良い長い直線で、違反になるような速度になってしまうことを防止するために、クルーズ速度を制限速度に設定して走っていました。

ギアシフト・アシスタントは微妙

クラッチ操作なしにシフトアップ/ダウン操作が可能な『ギアシフト・アシスタント Pro』がついていますが、最後まで信用しきれませんでした。

タイトな低速コーナーの侵入でシフトダウンしたら、アシスタントの雑にポンとミートさせるのでリアタイヤが少しスピンして外に流れました。
軽度とはいえ、シフトロックされると、嫌な感じでした。

最適値より低めのギアでパワーを感じたがる自分の乗り方だとシフトロック起しやすいのかもしれません。
自分の場合は、クラッチ使った方が安心なので、主にクラッチ使ってシフトしていました。

燃費は20㎞/lで航続距離300㎞強

満タンで300㎞ちょっと走れます。

残りの燃料で走れる距離(RANGE)が100㎞を下回ると燃料残量の警告が出てくるので、200㎞程度毎には給油していました。

オフロード

R1200RSで、合計20㎞くらいダートや砂利道を走りました。
ダートでは、タイヤのグリップが無くて、苦行でした(タイヤは、ContiRoadAttack 2 GT でした)。

ちょっと傾斜がきついダートの坂だと発進できません。
アクセルを開けると、後輪空転して坂に穴を掘っちゃって進みません。
アクセルを開けないとパワーが出ないので坂を上っていけません。

坂で止まらず一気に登れば何とか登れますが、坂の上が優先道路だと、合流点手前の斜路で止まらざるを得ないこともあり、苦労しました。

穴が掘れるとバックもできません。
不整地の登りだと降車することも難しいのですが、降車して掘れた穴の回りを平らにして重量で少し坂を戻って、滑りにくそうな場所を選んでやり直しでした。

下りもも苦行です。
ブレーキかけてもタイヤがロックするだけで、ロックしたまま滑っていき止まりません。氷上でブレーキかけているようなものです。

超低速で我慢しながら下るしかありませんでした。

車重が250㎏程度なのでオフロードも何とかなりましたが、タンデムだったオフロードの坂はムリだと思われます。

オフはGS

オフロードやダート走行をすることがあるなら、R1200GSのほうが向いてます。

RS1200RSのシリンダー(左右に張り出しているので、風を受けているので、虫などが当たって汚れてます)

BMW R1200RSで、オフ車的に足を前に出して乗ろうとすると、左右に張り出したシリンダーヘッドがジャマでオフ車的な足使いできませんが、R1200GSでは、同じエンジンなのに、シリンダーがジャマになりません。

R1200GS と R1200RS は同じエンジンで、出力も一緒の92kW(125PS)/7,750rpm、トルクも一緒です。

RSとGSは重量もほぼ一緒で、RS224kg、GS225㎏。

燃料タンクはRSが18リットルで、GSは20リットルです。

BMW R1200GSのフロントタイヤ
BMW R1200GSのフロントタイヤ

RS1200RSにR1200GSのオフロード用タイヤを履いてオフに行くと楽しい、という話も聞きましたので、タイヤのグリップさえ確保すれば楽しめるのかもかもしれません。

右がそのタイヤです。オンロードでも乗りやすそうなオフロードタイヤです。オフロードでもちゃんと使えるそうです。

キーレスが快適

エンジンの起動・停止はキーレスです。
ハンドルロックと解除もキーレスです。

近くにキーが有れば、スイッチ押すだけで、起動/停止、ロック/ロック解除ができます。

給油口の開閉もキーレスでできます。

キーが必要なのは、純正のパニアやトップケースの施錠・開錠の時だけです。

メーターに表示できる情報は豊富

燃料計、ギア、エンジン回転数、時計、ヘッドライトの状態、各種警告表示など常時表示される情報の他にも、左親指のスイッチで、メーターに表示する情報を切替えれて、様々な情報を表示させることができます。

  • 前輪と後輪の空気圧
  • 平均速度
  • 平均燃費
  • 残りのガソリンで走れる距離(RANGE)
  • 気温とエンジン温度
  • バッテリー電圧
  • 距離計(ODDと、A,1,2の3つのトリップ)
  • グリップヒーターの強・弱表示

エンジンモードと、サス設定(ESAモード)は常時表示されています。

ハンドルには何も付けられない

ハンドルは丸いバーになっている部分が無いので、ハンドルにスマホホルダーなどのアクセサリーを取り付けるのは困難です。

ハンドル、アクションカメラとか非純正ナビを取り付ける場合などは、事前にハンドルの形状を確認したほうが良いと思います。

電源は内腿のあたり

USB電源はありませんが、 Hella (DIN) Socketは、シートの右側、内腿のあたりに付いています。
HellaからUSBに変換するアダプタを付けても、この位置からだとハンドルまわりに給電するのは簡単ではありません。

BMW純正ナビは使いにくい

R1200RSもR1200RTもBMW純正ナビは同じです。使いにくいナビです

  • 観光地名での指定が出来無い
    ミルフォードサウンド、フッカーズ氷河登山口など観光地に住所などないので、住所で指定するのが大変です。
    三国峠の住所をさがすような苦労があります。
  • 地図を見ての行き先指定は、忍耐力が必要
    画面が狭く、拡大縮小が遅く、スライドしての移動の反応が遅い上にときどき反応しない、などで、地図上の位置を指でクリックして目的値設定する機能を使う場合は、時間と忍耐力が必要です。
  • 情報が信頼できない
    最寄のガソリンスタンドを選んで走って行ったスーパーだったりホテルだったりしました。信じるとガス欠の危機を招くのでgoogle等で確認をしていました。
  • 場所の特定が難しい
    ガソリンスタンドを検索すると、方向と距離を記載したリストが表示されますが、「NW20㎞ BP」とか、「N23㎞Challenge」とった表示です。
    地図に表示されないので、北西20㎞のBPと、北20㎞のChallengeのどっちがこれから行くルートに近いのか分かりません。
  • どういうルートが選ばれたのか判りにくい
    全行程の地図表示をさせるのが、反応悪くて大変、どんなルートを設定されているのかとても把握しずらい。

R1200RSの装備

  • Dynamic-ESA:(電子制御アクティブサスペション )
  • ASC :Automatic Stability Control (ホイールスピン防止)
  • 走行モード(ROADRAINの2モード)
  • ABS(パーシャリーインテグラル)
  • HP Shift Assistant Pro(ギアシフト・アシスタント)
  • オートクルーズ
  • グリップヒーター(高、低の温度設定可能)

海外ではオプションのDTC:Dynamic Traction Control は無しなので、DynamicモードとUserモードは無し

ASC :Automatic Stability Control

ホイールスピンしないようにエンジンのパワーやブレーキを自動制御して、濡れた路面や砂利道などが降臨がパワースピンするのを防いでくれます。
しかし、オフロードを走れるようになるわけではありません。
ダートを走っていて、トルクを出さないと登れない少しきつめの上り坂になり、坂を上れるだけのトルクを出そうとしてアクセル開けると、簡単に後輪がパワースピンします。
ダートでタイヤのグリップが無さすぎることが原因です。
ASCがあってもグリップが増すことはありません。

走行モード(ROAD/RAINの2モード)

スロットルのレスポンス、ABSの介入度合い、ASCの効き具合を、モード設定に応じて切り替える機能です。

RAINモードだと、スロットルレスポンスはソフトになり、ASCの介入度合いは大きくなります。

Dynamic-ESA:Electronic Suspension Adjusment

前輪と後輪のサスペンションダンピングとリバウンドを自動調整してくれる機能と、積んだ荷物の増減などの荷重変化にも対応してプリリードを設定してくれる機能の、2つの機能がD-ESAです。

サスペンションストロークセンサーの情報から走行している状況を判断しサスペンションダンピングとリバウンドを自動調整。
モードは、RoadとDynamicの2種類。
Dynamicにすると前後輪のサスのダンピングはソフトになる

乗車人数や荷物の有無に応じてプリロードをスイッチで変更できます。

Mode設定が2種類と、Dyanamic-ESAのダンピング設定が2種類、Dyanamic-ESAのプリロードの設定が3種類を組み合わせると、2X2X3=12種類のセッティングできます

  Mode設定
Road RAIN
Dynamic
ESA
ダンピング
設定Road
ライダーのみ 1 2
ライダー+荷物 3 4
タンデム 5 6
ダンピング
Dyanamic
(ソフト)
ライダーのみ 7 8
ライダー+荷物 9 10
タンデム 11 12

海外モデルの標準装備には、DTC:Dynamic Traction Control は無くてオプションになっているので、設定はこの12種類です。

もしDTCをつければ、あれば、4X2X3=24種類のセッティング可能です

ABS(パーシャリーインテグラル)

フロントブレーキで両輪のブレーキが作動し、
リアブレーキ(フットブレーキレバー)ではリアブレーキのみ作動するABSです。

オートクルーズ

設定中にアクセル開けて追い越ししても、アクセル戻せば設定速度に復帰。ブレーキ、ギアチェンジ、クラッチを操作すれば設定解除

交通法規に違反しないように速度を設定して

HP Shift Assistant Pro

発進、停車の時以外は、クラッチ操作なしでギアチェンジ可能な機能です。

シフトダウンでは、軽いシフトロックを起こすこともあるので、コーナーとかでは無条件で信用しないほうが良い気がします。

諸元
  • 重量(標準装備時)236 kg
  • キャスター角62.3度、114.8 mm
  • ホイールベース1,530 mm,
  • パワー:92 kW (125 hp) at 7,750 rpm
  • トルク:125 Nm (92 lb-ft) at 6,500 rpm.
  • 倒立サス
  • BMW_R1200RSのドライブシャフト
    BMW_R1200RSのドライブシャフト
    駆動方式:ドライブシャフト式
  • セミフェアリング
  • 燃料タンク容量 18ℓ
  • リザーブ容量 約4ℓ

 

バイク生活にまつわる出来事