プロテクターがあると、何も無い場合より衝突時間が長くなります。
衝突時間が長くなると、衝突で生じる衝撃力が小さくなります。
プロテクターCE規格で定められている試験は、鉄の台にプロテクターを置いて、鉄の重りをぶつけます。
プロテクターを置かずに鉄と鉄が直接衝突した場合の衝突時間は1msec程度です(鉄と鉄の衝突で生じる衝撃力)。
CE規格 EN1621準拠のプロテクターを間にはさんで、鉄と鉄を衝突させた場合の衝突時間は、SAS-TECの資料(下図)から読み取ると、おおよそ3msecから5msecです。
5㎏ の鉄塊が、静止した鉄に50J(ジュール)で衝突すると200kNの衝撃力が生じます(鉄と鉄の衝突で生じる衝撃力)。
同じ条件で、衝突時間が、4msecだと、衝撃力は、55 kNになります。
5㎏重りが衝突して4msec、0.004秒で静止した場合、衝撃値は
4.47(m/sec)÷0.004(sec)=1117.5 G(m/sec2)
になります。この時の衝撃力(質量×衝撃値)は
1117.5 G×5㎏ = 5587.5 kgf
5587.5 kgfは、重力加速度を9.8m/s2とすると、
5587.5 kgf×9.8m/s2=54757.5 N(ニュートン)
54757.5 N÷1000=約55 kN(キロニュートン)
になります。
プロテクターが、衝突してくる物体をジワッと時間をかけて受け止めることにより、何も無い場合の200 kNの衝撃力が、55 kNへと、約4分の1になっています。