ヘルメットの重さ比較

ヘルメットの重さを比べてみました。

重いヘルメットは、軽いヘルメットの1.3倍の重さだったり、ジェットより軽いフルフェイスがあったり、ジェットより軽いシステムヘルメットがあったりしました。

会社 製品 タイプ 重量(g)
SIMPSON M30 BANDIT DOT Carbon Fiber フルフェイス 1,134
AGV AX-8 Evo オフロード 1,150
AGV XG100 CARBON フルフェイス 1,200
GIVI 40.5 X-Carbon フルフェイス 1,230
AGV AX-8 Dual Carbon フルフェイス 1,250
SIMPSON M30 カーボン(日本仕様) フルフェイス 1,250
WINS A-FORCE RS JET ジェット 1,260
AGV SPORTMODULAR (日本仕様) システム 1,280
HJC (RS-TAICHI) RPHA11(日本仕様) フルフェイス 1,300
SHOEI VFX-W オフロード 1,303
SHOEI J-FORCE IV ジェット 1,315
BELL M5XJ CARBON フルフェイス 1,320
SHOEI VFX-WR オフロード 1,332
AGV CORSA E2205 MULTI (MS Size) フルフェイス 1,350
SIMPSON M30 BANDIT フルフェイス 1,360
AGV AX9 Carbon オフロード 1,365
YAMAHA RPHA JET ジェット 1,365
YAMAHA RPHA 10 PLUS フルフェイス 1,375
YAMAHA YX-3 GIBSON T-2 オフロード 1,375
SHOEI Z7 フルフェイス 1,385
ARAI VZ-RAM ジェット 1,400
WINS A-FORCE RS フルフェイス 1,400
BELL M5XJ フルフェイス 1,400
OGK OGK RT-33R GLODIS フルフェイス 1,420
AGV AX9 オフロード 1,445
SHOEI QWEST フルフェイス 1,447
Arai SZ-RAM4 ジェット 1,450
SHOEI RYD 1,464
YAMAHA ZENITH YJ-17 ジェット 1,480
SHOEI J-Cruise ジェット 1,474
SHOEI GT-Air フルフェイス 1,524
SHOEI HORNET ADV オフロード 1,540
Arai QUANTUM-J フルフェイス 1,580
Arai ASTRO-IQ フルフェイス 1,610
Arai XD フルフェイス 1,620
Arai RX-7X フルフェイス 1,620
YAMAHA YX-6 ZENITH GIBSON オフロード 1,660
ARAI V-CROSS 4 オフロード 1,660
SHOEI X-Fourteen フルフェイス 1,664
SHOEI NEOTEC 2 システム 1,704
SHOEI NEOTEC システム 1,725
OGK KABUTO IBUKI システム 1,730

重いヘルメットと軽いヘルメットでは、国産だと403gの差です。

SIMPSONのカーボンファイバーモデルまで含めると596gの差があります。

表にサイズが書いてないのは、Lサイズの重さです。

缶ビール大瓶(空瓶)600g

SIMPSONの「M30 BANDIT Carbon Fiber」 と、OGKのIBUKI の重さの差は、ビール空瓶(大瓶)の重さと同じです。 中身の入った500㏄のペットボトル1本分以上の差があります。

缶ビール1本 380g

400gの差は、中身の入った缶ビール1本くらいの差。 350ml缶が、中身と缶で約380g 缶ビール1本をヘルメットに装着していると思うだけで疲れそう。

インカム 150g

150gの差は、インカム付けるか付けないかくらいの差。 インカム SENA SMH-10が 144g (ヘッドセット:60g+・クランプユニット:84g)

メガネ50g

50gの差は、メガネとコンタクトの差。 Raybanのサングラス(Wayfarer)が約45g

PINLOCKシート50g

ショウエイ(SHOEI) CWF-1 PINLOCKシートが54gです。

フル装備で2㎏

メガネかけて、インカムつけて、PINLOCKシートで曇り止めすると、約250g重くなります。

1730gのヘルメットに250g追加すると、1980gになります。

2㎏を超えるヘルメットは、道路交通法違反です(道路交通法施行規則第九条の六に違反)。

2㎏を超えると、消費生活用製品安全法施行令(昭和49年政令第48号)別表第1に掲げる特定製品についての経済産業省の解釈にも、違反します。

システムヘルメットもカーボンなら軽い

システムタイプヘルメットでも、ダイネーゼジャパンが輸入販売するAGVのフルカーボンモデュラーヘルメット「SPORTMODULAR (スポーツモデュラ)」は、1280gです。

1,315gのジェット型「SHOEI J-FORCE IV」より35g軽量です。

同じシステムヘルメット「SHOEI NEOTEC」の1,725gより445gも軽くなっています。

システムヘルメットもフルカーボンなら軽くなります。

ツーリング前提で比較

ツーリングで使う前提で選んで比較しました

  • 雨でも顔が濡れないレベルのシールドがあるヘルメット
  • ある程度の安心を感じる程度に有名で、使っている人もそこそこ多いヘルメット

軽さ最優先なら、SHOEIのJ-Oは1,099g と軽いです。でも、シールドが目だけしかカバーせず、鼻も口も出ています。雨降ったら、濡れるし、鼻下あたりは雨粒が当たってつらいです。

半ヘルならもっと軽ですが、安心感も無いので、比較対象にしていません。

オフロード用ヘルメットも、表に載せていません。どんなゴーグルやノーズガードを使うかによって全重量変わってきますし、ゴーグルなしでツーリング無理だし、ノーズガード無いと雨つらいです。

ヘルメット重量の精度

ヘルメットは数グラム程度の個体差があるようです。

同じモデルでも、通常モデルよりフラフィックモデルが少し重くなります。

SHOEI Z-7のLサイズは、1,375g ですが、グラフィックモデル1,398g になりますので、23g重くなっています。

AGVのCORSA E2205 MULTI は、1340 g (+/- 50g) という表記になっていますので、50g 程度のバラつきは許容範囲のようです。

数十グラム程度の重さの差にこだわっても意味が無いようです。

良く聞く話

根拠不明ですが、良く聞く話は、

  • 正しくフィットしていると頭全体でに重さが分散するので軽く感じる
  • ヘルメットの重心がどこにあるかで軽く感じたり重く感じたりする
  • 空力も重要 ヘルメットの浮き上がりや、揺れがあるとヘルメットを重く感じる
  • 1650gを超えると軽く感じさせる工夫が難しい
  • Snell規格に適合させると50gから100g重くなる

PSCマークの無い海外製品の使用は可能

ハイスペックで軽いけれどPSCマークが無い海外のヘルメットを国内で使用しても違法ではありませんし、減点になることはありません(違反にならないヘルメット)。

PSCマークが無いヘルメットの国内での販売は違法なので、どうやって入手するかが課題です。

素材の変更で軽量化の余地は?

カーボン

Arai のRX-7 RCは、カーボンファイバーを使用しています。 カーボンの使用により、スーパーファイバーを使用したRX-7 RR5のPB-SNC帽体比べて、製品重量で150g前後の軽量化に成功しているそうです。 ただし、カーボンは生産性が悪く、Arai のRX-7 RCは、1日1個の生産が限度だそうです。値段も26万円と高価です。

RX-7 RCの生産は、以下のような手間をかけているので、1つ作るのに18時間かかり、1日1個の生産が限度とのことです。

  1. カーボン繊維に、曲面成形のための独自の織り込み加工を行う。
  2. 表面加工を施したうえで、樹脂で専用のカーボンプリプレグ(炭素繊維に樹脂を含浸させたシート)に仕上げる
  3. プリプレグを11枚積層して形成する
    • カーボンプリプレグの間に、高強度・引張り弾性率を持つ有機系特殊繊維を組み込む
    • 外側と内側には、スーパーファイバー製ベルトを配す
  4. 長時間の高温高圧でプレス

Arai のRX-7 RCはカーボン採用による帽体の高強度・軽量化に加えて、ライナーを、サイズごとに細かくセッティングすることによる高強度・軽量化も行っているそうです。

Simpson、Givi、AVG もカーボンファイバー採用のモデルは軽くなっていますが、RX-7 RCほどではありません。 SIMPSONのM30 BANDIT DOT Carbon Fiberも、GIVIの40.5 X-Carbon も海外での販売価格は6万円程度です。

超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)

米軍の新型ヘルメットは、バイク用ヘルメットより、丈夫で軽くなっています(軍用ヘルメットは軽くて強靭)。 軽くて強靭な理由は、素材に、超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)を使っているからだそうです。

しかし、今のところ超高分子量ポリエチレンも、加工性が悪いそうです。

融点以上になっても流動性が無いので、金型に入れて加熱圧縮するコンプレッション成形でも2時間以上かかるとか、押出成形も時間をかけないと均一性が担保できない、といった状況です。

加工性が改善されれば、バイクヘルメットが大幅に軽量化できる可能性がありそうです。