教習車にCBやNCが多い理由

CB400SFやNC750が教習車として使われている理由は、その特性にあるようです。

CB750の後継でNC750L が誕生した背景

NC750L誕生の背景から、教習車の特性が見えてきます。

CB1300はボツ

HONDAは、CB750の後継となる教習車として、CB1300の教習所仕様版を開発していたそうです。

設計や製作、テスト走行なども官僚し、完成直前になって、上層部から「こんな大きな車両を教習車に使えるか!」とNGが出たためCB1300教習車版は、ボツになったとのこと。
身長の低い人や非力な人が、いきなりCB1300で練習させることは危険だ。大型バイクに乗った事がない人が、いきなりCB1300というのはハードルが高すぎる。という理由だそうです。

教習車は、身長の低い人や非力な人や、初めてバイクに触れる人でも危険無く扱える程度の、サイズ的なハードルの低さが大切なようです

 

CB1100もボツ

CB1300の代替としてCB1100の教習車仕様版が検討されたそうです。

しかし、CB1100が空冷であることから、CB1100の教習車仕様が開発は、ボツになりました。

風もきらずに低速でエンジンまわしているとオーバーヒート気味になる空冷車は、教習車としっては不向だそうです。

教習車は、真夏に低速で延々とエンジンを回し続けてもオーバーヒートしない水冷であることが重要なようです。

 

NC700の単純ボアアップもボツ

CB1300とCB1100が没になった後、NC700の教習車化が検討されました。

大型教習車は排気量700㏄以上なので、669ccのRC61E型エンジンを搭載したNC700は排気量が足りません。

ボアアップ版が検討されたそうです。

しかし、単純ボアアップだと吸気量増大で出力、トルクともに合アップしてしまい、大人しいバイクになりません。

排気量をアップさせつつ、教習車用として最適化しました。

NC700をフルカスタマイズして
NC750L教習車誕生

排気量増だがパワーは削る

RC61E型とRC67E型エンジンの特性比較NC700のRC61E型エンジンの排気量のみ大きくして、エンジンの出力やトルクは小さくして、パワーダウン(右のグラフ)しています。

NC750Lは、75PSのCB750 の半分の出力しかありません。

ボアアップしつつも、ストローク長よりボア径が小さいロングストローク型(内径77.mm0×行程80.0mmで)のままで、低回転域で粘りがあるRC61E型エンジンの特性は維持しています。

なお、市販の一般仕様車NC750Xは、出力は54PS、トルクは6.9kgのRC70E、RC88Eエンジンを搭載しています。
教習用NC750LのRC67Eエンジンはもちろん、NC700のRC61Eよりもパワフルなエンジンになっています。

教習車は、大人しさ優先のようです。

ギアは低速でエンストしにくいギアに

ギアは、6速→5速に変更。
NC700の4速を無くして、低速側のギア比を上げ低速でエンストしにくくしたギア構成(左の変速比のグラフ)です。

教習所で使うことが稀な4速以上のギア比の差を大きくして、ワイドレシオにしたトランスミッションです。

なお、教習車仕様ではないNC750Xのギア比は、NC700Xと同じです。

教習車は、低速でもエンストしにくいギア比が重要なようです

車体はコンパクトに

フレームはNC750L専用に開発したフレームです。
車体のコンパクト化に貢献しています。

NC750Lのサイズは、2,190×775×1,120 ㎜ になり、
NC700Xより、全長は20 ㎜ 短縮、幅は55 ㎜ 狭くなり、全高も165 ㎜ 低くし、さらにシート高も60 ㎜ 低くしています。

重量は、バンパーや、教習用表示ランプを装備した分は重くなったもの、NC700Xとほぼ同じ重さ。CB750より25㎏ほど軽量化しています。

フレームの他にも、荷物入れ(通常タンクのある場所)横側にニーグリップ補助パッドも追加していたり、クラッチレバーを変更したりしています。

教習車は、扱いやすい軽さと小ささが重要なようです

 

壊れにくい

NC750Lのイグニッションキーは、剛性の高いウェーブキーに変更されています。教習生が鍵を折ってしまう心配も減ります。

NC750L用に設計したフレームは、エンジンガードやリアガードがしっかり取り付けられるだけでなく、整備の邪魔になりにくい位置にガードが取り付けられるようになっています。

 

 

 

丈夫で壊れにくくい

ホンダの教習車は、丈夫で長持ちするそうです。

NC750Lは発売して数年ですが、CB400やCB750は、教習所で10年は使えるそうです。

倒れても壊れにくいし、数年経つとオイル漏れが増えるようなことも無いそうです。

教習所でボロボロになったCB400やCB750は、東南アジア等の海外に持って行って売れるそうです。
丈夫で修理しやすいバイクとして、人気だそうです。

大型二輪教習の定番だったCB750が2008年8月に生産終了になってから、その後継の教習車「NC750L」が)。 2013年3月発表されるまで4年ほど空白がありました。

後継車の発表無しでCB750 が販売中止なり、放置された教習所が、他社の大型車を採用せずに、HONDAから後継車が発表されるのを何年間も待った理由の1つが、タフなCB750を作ったHONDAへの期待が理由だそうです。

ただ、HONDAでもCB1100は、数年経つとオイル漏れが増えるとか、クラッチの傷みが早めだとかいう噂もあります。車種によるのかもしれません。

何年もCB750の跡継ぎ教習車が出てこなかったのは、ボツになったCB1300ベースの教習車の開発に時間を費やしたことと、その後もCB1100を検討したりしていたため、NC750Lの開発開始が遅かったからだそうです。