違反ではないヘルメット基準

バイクのヘルメットには、「道路交通法」の基準と、「消費生活用製品安全法」の基準があります。

道路交通法」の基準に違反すると減点になります。

消費生活用製品安全法」は、ヘルメットを販売する人(個人や会社)に適用される法律なので、販売しない限り抵触することはありません。

道路交通法

道路交通法が定めるヘルメットの基準は、以下の7項目だけです。

  1. 左右、上下の視野が十分とれること。
  2. 風圧によりひさしが垂れて視野を妨げることのない構造であること。
  3. 著しく聴力を損ねない構造であること。
  4. 衝撃吸収性があり、かつ、帽体が耐貫通性を有すること。
  5. 衝撃により容易に脱げないように固定できるあごひもを有すること。
  6. 重量が2kg以下であること。
  7. 人体を傷つけるおそれがある構造でないこと

PSCマークが無くても減点にはならない

具体的な基準値は、重さが2㎏以下という記載だけで、左右の視野角度や、衝撃吸収性、耐貫通性などの具体的な値は、規定されていません。

「衝撃吸収性や耐貫通性がある」と判定する基準が決められていないので、PSCマークが無いヘルメットを道交法違反だと断定することはできません。

SNELLとかDOT規格をパスしているヘルメットは、視野を妨げず、衝撃吸収性や耐貫通性があるヘルメットだという主張を否定できる法的根拠がありません。

半ヘルでも違反にはならない

道路交通法」には、半ヘル禁止とは明記されていません。

消費生活用製品安全法」が、排気量に応じて保護範囲を規定していて、半ヘルは125㏄以下だけでOKになっています。
しかし、「消費生活用製品安全法」は販売の規制をしているだけで、使用を禁止していません。

大型を半ヘルで運転していると、お巡りさんの心象を悪くしたり注意を受けることはあるかもしれませんが、半ヘルの使用だけで減点にはなりません。
勘違いしているお巡りさんはいるかもしれませんし、減点にならなくても説教されたりする可能性はあります。

社会通念に反するようなことは、やらないほうが無難です。

保険は?

違反ではありませんが、事故を起こした時に、半ヘルだと保険金が満額でないという噂もありますが、根拠が確認できません。。

製品の欠陥があった場合に、SGマークが無いと、(財)製品安全協会からの賠償金はもらえません。
(財)製品安全協会が製品の欠陥だと判断した場合の賠償金は最大1億円です。
賠償金は、損害を立証する資料を、(財)製品安全協会に提出して、(財)製品安全協会が算定します。
製品の欠陥だと認定されなければ、SGマークがあっても賠償額はゼロです。

欠陥があれば、メーカーはPL法(製造物責任法)による賠償をしなくてはなりませんが、海外のメーカーや、資金力の無い輸入業者などが賠償金を払わない、払えない場合でも、(財)製品安全協会が払ってくれます。

道路交通法の条文

道路交通法(昭和三十五年六月二十五日法律第百五号)
最終改正:平成二七年九月三〇日

「第七十一条の四第一項」

(大型自動二輪車等の運転者の遵守事項)

第七十一条の四  

大型自動二輪車又は普通自動二輪車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶらないで大型自動二輪車若しくは普通自動二輪車を運転し、又は乗車用ヘルメットをかぶらない者を乗車させて大型自動二輪車若しくは普通自動二輪車を運転してはならない。

2  原動機付自転車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶらないで原動機付自転車を運転してはならない。

7  第一項及び第二項の乗車用ヘルメットの基準は、内閣府令で定める。

上記 7 の「内閣府令」は、平成二八年七月一五日内閣府令第四九号であり、「道路交通法施行規則」として施行されています。

道路交通法施行規則
最終改正:平成二八年七月一五日内閣府令第四九号

(乗車用ヘルメット)
第九条の五  法第七十一条の四第一項 及び第二項 の乗車用ヘルメットの基準は、次の各号に定めるとおりとする。

一  左右、上下の視野が十分とれること。
二  風圧によりひさしが垂れて視野を妨げることのない構造であること。
三  著しく聴力を損ねない構造であること。
四  衝撃吸収性があり、かつ、帽体が耐貫通性を有すること。
五  衝撃により容易に脱げないように固定できるあごひもを有すること。
六  重量が二キログラム以下であること。
七  人体を傷つけるおそれがある構造でないこと

この7項目だけが、2017年5月時点での道交法ヘルメット基準です。半ヘルも、PSCマークも道交法とは関係ありません。

消費生活用製品安全法

「消費生活用製品安全法」に違反すると、一年以下の懲役もしくは百万円以下の罰金になりますが、運転免許の減点にはなりません

経済産業省の注意喚起文「PSCマークのない「乗車用 ヘルメット」にご注意下さいご注意ください」にも、販売は違法だと明記されていますが、購入・使用は、「十分ご注意下さい」と書いてあるだけで使用が違法だとは表記されていません。
使用が違法だと明言する法的根拠が無いので使用が違法だとは書けません。

海外で買ってきて使うだけなら、「消費生活用製品安全法」に違反しません。

しかし、買ってきたヘルメットを、転売したら、アウトです。

国内で合法的に販売するためには、PSCマークが必要です。
違反したら責任をとるのは、販売社であって、購入者ではありません。

SGマークは民間の任意規格です。PSCマークのように国の定めた規格ではないので、SGマークが無くても何の法律にも違反しません。

SGマークがあっても、PSCマークが無いと「消費生活用製品安全法」違反です。

PSCマークの基準

PSCマークのない製品が市中に出回った時は、国は製造事業者等に回収等の措置を命ずることができますが、購入者に対する罰則はありません。

PSCマークの基準は、JIS-T8133(2007)を基本とした基準になっています。

PSCマークの基準は、「消費生活用製品安全法特定製品関係の運用及び解釈について」に細かく規定されています。

  1. 通常の使用では、経年劣化して、性能に影響が出ないことを、JIS-T8133(2007)8.1.1の汗試験と8.1.2の頭髪油試験で確認すること。
  2. 皮膚に有害でないこと
    (一般に皮膚障害を引き起こすとみなされる材料を使用してはならない)
  3. 金具は、耐食性か、さび止め処理済みであることを、目視と触感により確認すること
  4. 外表面は滑らかであり、凸部又は段差については面取りがされていることを、目視と触感により確認すること
  5. 外表面は、JIS-T8133(2007)乗車用ヘルメット3.13に定める参照平面から上方は、機能的に必要な場合を除き、連続した凸曲面(全体として曲率半径75㎜以上の連続的な凸曲面であること)、また参照平面から下方は流線型であること。
  6. 帽体及び衝撃吸収ライナの保護範囲は、JIS-T8133(2007)乗車用ヘルメット6.2bに適合すること。
  7. 原動機付自転車又は総排気量125cc以下の二輪車を対象とするハーフ形又はスリークォーターズ形のヘルメット(「原付等用ヘルメット」)は、JIS-T8133(2007)乗車用ヘルメット6.2aに適合すること。
  8. 帽体の表面に固定されたスナップその他の堅い突出物は、帽体の滑りを妨げることのないよう突出が十分小さい(帽体外表面から5mm以上突き出していない)か、容易に外れる構造を有すること。
  9. 着用者の頭部によくなじみ、かつ、頭部を傷つけるおそれがない構造であることを、目視と触感により確認すること。
  10. 組立てが良好で、使用上支障のある傷、割れ、ひび、まくれ等がないこと。
  11. 付属品や各構成部品が、JIS-T8133(2007)7.4に規定する衝撃吸収性試験を行ったときに外れないこと
  12. ひさしは、走行中に風圧により垂れることがないこと。
  13. 左右の視界が105度以上あり、かつ、上下の視界が十分とれることを、JIS-T8133(2007)乗車用ヘルメット7.8に規定する周辺視野試験と同等以上の方法で確認すること
    1. JIS-T8133(2007)附属書Aで規定する手順で人頭模型に装着し、幅62㎜±1mmの視野ゲージ等で確認すること。
    2.  調節可能なひさし又はあごガードのあるヘルメットは、それらの調整範囲内において確認すること。
    3. シールドのあるヘルメットは、シールド解放角がJIS-T8133(2007)5.6に適合することを確認すること。
    4. ブレスガード等の付属品が取り付けられているものは、取り付けた状態で確認すること。
    5. 下方の周辺視野は、中心部(鼻に該当する位置)に換気ダクト等のブリーフデフレクタが取り付けられている場合、当該部位を除外して確認してもよい。
  14. ヘルメットは、帽体、衝撃吸収ライナ、内装クッション及び保持装置から構成されていることを目視及び触感で確認すること
  15. 耳おおい、ひさし、シールド及びあごガードを備えてもよい。
  16. 保持装置にはチンカップを取り付けてはならない。
  17. 著しく聴力を損ねることのない構造であることを、 目視と着用で確認すること
  18. 質量は、ヘルメットに同梱されている全ての付属品を取り付けた状態で、首に負担がかからない適切な質量(2㎏以下)であること。
  19. 衝撃吸収性試験を行つたとき、最大衝撃加速度が2940メートル毎秒毎秒以下であり、かつ、1470メートル毎秒毎秒以上の継続時間が6ミリ秒以下(原付等用ヘルメットにあつては4ミリ秒以下)であること。
  20. 耐貫通性試験を行つたとき、ストライカの先端が耐貫通性試験用人頭模型に接触しないことを、JIS-T8133(2007)7.5の耐貫通性試験と同等以上の方法で確認すること
  21. 保持装置の強さ試験を行lったとき、動的伸びが35mm以下であり、かつ、残留伸びが25mm以下であり、また、試験後にヘルメットを人頭模型から簡単に外すことができることを、JIS-T8133(2007)7.6と同等以上の方法で確認すること。
  22. 保持性(ロールオフ)試験を行つたとき、ヘルメットが人頭模型から脱落しないことを、JIS-T8133(2007)7.7と同等以上の方法で確認すること。

「消費生活用製品安全法」の条文

「消費生活用製品安全法」の条文は以下のとおりです。

第二章 特定製品

   第一節 基準並びに販売及び表示の制限

販売の制限
第四条  特定製品の製造、輸入又は販売の事業を行う者は、第十三条の規定により表示が付されているものでなければ、特定製品を販売し、又は販売の目的で陳列してはならない。

バイク用ヘルメットは、「消費生活用製品安全法」の「特定製品」に該当します。

消費生活用製品安全法施行令(昭和四十九年三月五日政令第四十八号)
最終改正:平成二四年三月三〇日政令第九六号
の別表第一で「乗車用ヘルメット(自動二輪車又は原動機付自転車乗車用のものに限る。)」が特定製品であると規定されています。

ヘルメットの基準は、経済産業省関係特定製品の技術上の基準等に関する省令
(昭和四十九年三月五日通商産業省令第十八号)最終改正:平成二八年五月三一日経済産業省令第七三号で以下のように規定されています。

  1. (1) ヘルメットの構成部品は、通常の使用状態において、経年劣化により、その性能に影響を与えるものでないこと。
    また、皮膚に有害な影響を与えないものであること。
    (2) 金具類は、耐食性のもの又はさび止め処理を施したものであること。
  2. (1) ヘルメットの外表面は十分に滑らかであり、また、凸部又は段差については面取りがなされていること。
    なお、ヘルメットの外表面は、日本工業規格T8133(2007)乗車用ヘルメット3.13に定める参照平面から上方にあつては、機能的に必要な場合を除き、連続した凸曲面であり、参照平面から下方は流線型であること。
    (2) 帽体及び衝撃吸収ライナの保護範囲は、日本工業規格T8133(2007)乗車用ヘルメット6.2b)に適合すること。
    ただし、原動機付自転車又は総排気量125cc以下の自動二輪車を対象とするハーフ形又はスリークォーターズ形のヘルメット(以下「原付等用ヘルメット」という。)にあつては、日本工業規格T8133(2007)乗車用ヘルメット6.2a)に適合すること。
    (3) 帽体の表面に固定されたスナップその他の堅い突出物は、帽体の滑りを妨げることのないよう突出が十分小さいか、又は容易に外れる構造を有すること。
  3. (1) 着用者の頭部によくなじみ、かつ、頭部を傷つけるおそれがない構造を有すること。
    (2) 組立てが良好で、使用上支障のある傷、割れ、ひび、まくれ等がないこと。
    (3) 左右の視界が105度以上あり、かつ、上下の視界が十分とれること。
    (4) ヘルメットは、帽体、衝撃吸収ライナ、内装クッション及び保持装置から構成されていること。また、耳おおい、ひさし、シールド及びあごガードを備えてもよい。
    なお、保持装置にはチンカップを取り付けてはならない。
    (5) 著しく聴力を損ねることのない構造を有すること。
  4. 質量は、頸部に負担がかからない適切な質量であること。
  5. 衝撃吸収性試験を行つたとき、最大衝撃加速度が2,940メートル毎秒毎秒以下であり、かつ、1,470メートル毎秒毎秒以上の継続時間が6ミリセコンド以下(原付等用ヘルメットにあつては4ミリセコンド以下)であること。
  6. 耐貫通性試験を行つたとき、ストライカの先端が耐貫通性試験用人頭模型に接触しないこと。
  7. 保持装置の強さ試験を行つたとき、動的伸びが35ミリメートル以下であり、かつ、残留伸びが25ミリメートル以下であり、また、試験後にヘルメットを人頭模型から簡単に外すことができること。
  8. 保持性(ロールオフ)試験を行つたとき、ヘルメットが人頭模型から脱落しないこと。
  9. (1) 届出事業者の氏名又は名称が容易に消えない方法により表示されていること。ただし、届出事業者の氏名又は名称は、経済産業大臣の承認を受けた略称若しくは記号又は経済産業大臣に届け出た登録商標をもつて代えることができる。
    (2) 総排気量0.125リットル以下の自動二輪車又は原動機付自転車に限り使用するものにあつては、その旨が容易に消えない方法により適切に表示されていること。
    (3) 安全に使用する上で必要となる使用上の注意事項が容易に消えない方法により適切に表示されていること。

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