CE規格の胸部プロテクターには、オフロード用胸部プロテクターと、オンロード用胸部プロテクター2種類、汎用基準2種類、胸部を保護するエアバッグ、合計6種類があります。
- EN 1621-3 Level.1
- EN 1621-3 Level.2
- EN 14021
- EN 1621-1 Level.1
- EN 1621-1 Level.2
- EN 1621-4
一般用胸部プロテクター EN 1621-3
EN 1621-3「Motorcyclists’ protective clothing against mechanical impact – Part 3: Requirements and test methods for chest protectors」は、オンロード用やオフロード用などに用途を限定しない胸部プロテクターのCE規格です。
基本的な保護能力を備えたLevel-1と、保護能力がより高いLevel-2があります。
EN 1621-3に適合したチェストプロテクターは、EN 14021に適合したオフロード専用胸部プロテクタ(ルーストディフレクター)より保護力が高いので、オフロードでも使えます。
EN 1621-3に適合する胸部プロテクターは、重さや、動きやすさの面で、EN 14021 に適合したオフロード専用用胸部プロテクターより不利になると思いますが、EN 1621-3に適合したオフロード用チェストプロテクターもあります。
国際モーターサイクリズム連盟(FIM)の競技ルールでは、チェストプロテクタはEN 1621-3の Level 1 で Type A 以上が必須です。バックプロテクターも、EN 1621-2 Level 1でCBタイプ以上を必須としています。
オフロード用 EN 14021
EN 14021 「Stone shields for off-road motorcycling」が、オフロード用の胸部プロテクターの規格です。
オフロード用は、プロテクターは、飛び石から胸を保護することを主目的としたプロテクターです。
「ルースト・ディフレクター」や「ルースト・ガード」など名前で呼ばれることもあります。
オンロードでの利用も想定した胸部プロテクターの規格は、EN 1621-3です。
EN 14021規格は、オンロードでの高速走行の事故を想定した安全基準ではなく、オフロードでの飛び石による怪我を防ぐための基準です。
このため、EN 14021規格は、EN 1621-3規格の5分の1の衝撃でしか試験していません。
- EN 14021 の耐衝撃試験では、重りを10Jでぶつけます。
- EN 1621-3 の耐衝撃試験では、重りを50J でぶつけます。
EN 14021では、保護面積は、胸囲に応じて決めています。
- 肩の中央部から、プロテクター下端までが胸囲の33%以上
(プロテクターの高さではなく、下端の位置の規定) - 胸囲の19%以上の幅があること
(プロテクター部分の幅が、どの箇所でも19%以上)、 - 胸囲の22%以上の高さがあること
(プロテクターの中央部分で下端から上端までの高さが22%以上)
このサイズを満たした上で、胸郭と胸骨を保護することとなっています。
EN 14021では、必須パーツのブレストガードの他にも、右図のように、背中、肩、上腕のガードがオプションとして規定されています。
汎用プロテクター EN 1621-1
胸部に限定せず、肘、膝、肩なども含めて、プロテクター全般の安全基準を定めたCE規格が、EN 1621-1 「Motorcyclists’ protective clothing against mechanical impact – Part 3: Requirements and test methods for impact protectors 」です。
EN 1621-1 に準拠した胸部プロテクターも存在します。
EN 1621-1は、胸部専用の規格EN 1621-3より、衝撃吸収性能が低くても、合格します。
EN 1621-1にも、保護レベルに応じてLevel-1とLeve-2の二種類があります。
エアバッグ EN 1621-4
胸部に限定せずに、エアバック全般の基準を定めた規格がEN 1621-4です。
転倒などでバイクから離れた時に機能しますが、飛び石が胸に当たるような場合には対応できません。