CE規格プロテクタが、衝突や転倒などの衝撃を、どの程度緩和してくれるのかは、CE規格に定めれている衝撃試験で判断できます。
プロテクターのCE規格 EN 1621の認証試験では、50ジュールの衝撃を加えた時に、体に伝わる衝撃を計測して、下の表に記載した規定値以下になることを確認します。
LEVEL 1 | LEVEL 2 | |||
---|---|---|---|---|
平均値 | 最大値 | 平均値 | 最大値 | |
EN 1621-1:2012 プロテクター全般 |
35 kN以下 | ~50 kN | 20 kN以下 | ~30 kN |
EN 1621-2 バックプロテクター |
18 kN以下 | ~24 kN | 9 kN以下 | ~12 kN |
EN 1621-3 胸部プロテクター |
30 kN以下 | ~45 kN | 20 kN以下 | ~12 kN |
EN 1621-4 エアバック |
4 kN以下 | ~6 kN | 2.5 kN以下 | ~3 kN |
体(プロテクターの内側)に伝わる衝撃の平均値と最大値の規格値ですから、数字が小さいほど、プロテクターの保護性能が高いことになります。
同じ種類のプロテクターならLevel 1より Level 2の方が約2倍ほど衝撃緩和能力が高い高性能プロテクターであることを、CE規格は求めています。
プロテクターの種類を、衝撃緩和性能の高い順に並べると、一番高性能なのが、
①「エアバック」、次が
②「バックプロテクター」、そして
③「胸部プロテクター」、
④「肩・肘・膝などのプロテクター」
という順番になります。
「バックプロテクター」は、「肩・肘・膝などのプロテクター」の2倍の衝撃緩和能力を要求されています。
プロテクターは衝撃の何%を緩和するのか
CE規格のプロテクターが衝撃の何%を緩和するのかは、上記の規格値ではわかりません。
重りがプロテクタに衝突する衝撃は50Jで、体に伝わる衝撃が平均30 kN 以下最大でも45 kN以下です。単位がJ(ジュール)とkN(キロニュートン)で異なっているので、30 kN ÷50 J = 60%という計算は間違っており、成り立ちません。
それでも、衝撃を何%吸収してくれるのか知りたいのので、無理やり計算してみました。
計算は、「プロテクター内側に伝わる衝撃力とプロテクターの外側の衝撃力の比較」と、「プロテクター内側に伝わる衝撃力とプロテクターが無い場合の衝撃力の比較」の2種類の計算です。
プロテクターの内側と外側の比較で30%以上
鉄の台にプロテクターの内側を下に向けて置いて、プロテクターに鉄の重りを50Jで衝突させた場合は、プロテクターの外側におおよそ55 kN程度の衝撃力が生じます。
プロテクタの内側(台側)の衝撃が35 kN以下になる(Level 1の肩や肘のプロテクターの場合)ので、外側より内側のほうが衝撃力が36%をプロテクターが緩和したことになります。
プロテクターの有無での比較80%以上
CE規格の試験で加える衝撃 50ジュールで、鉄と鉄を直接衝突させると、ざっくりと200kN程度の衝撃力になります(詳細は「鉄と鉄の衝突で生じる衝撃力」)に記載
その衝撃が、Level 1の肩や肘のプロテクターがあると35kN以下になるので、プロテクターが無い場合の衝撃の83%をプロテクターが緩和したことになります。
一番保護性能の低いLevel 1の「肩・肘・膝などのプロテクター」でも、衝撃の8割とか3割とかを緩和してくれます。